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就業規則就業規則は,使用者が円滑な事業経営を行う必要から,労働条件の統一的基準や職場のルールを労働基準法89条の記載事項に沿ってまとめた規則類の総称のことで,社員の採用から退職までの契約内容を規律する根本的ルールです。
したがって,職場の憲法とも呼ばれています(労基法9章)。
このような就業規則については,労働基準法により,就業規則で定める労働条件について,法令,労働協約に反しない範囲において労働契約に対して優越的な効力が認められており(92条),就業規則の基準に達しない労働条件を定める労働契約の部分は無効とされ(強行的効力・93条),無効となった部分は就業規則の基準によるとされています(直律的効力・93条)。
したがって,就業規則は職場の労働者の労働条件の最低の基準を示したものであり,労働協約の適用を受けないすべての社員に適用されるということになります(当該事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上に適用ある労働協約の労働条件の基準は,残りの常時使用する同種の労働者にも適用されることを労働組合法17条は認めています。
これを労働協約の一般的拘束力といいます)。
また,最高裁判例により,就業規則には,就業規則の労働契約内容の統一的・画一的定型化という付合契約的機能(企業が決定した契約内容について,入社希望者が承諾せざるを得ない契約としての機能)にもとづき,「それが合理的な労働条件を定めているものである」ことを要件に,民法92条の事実たる慣習としての法的規範』性が認められており(Akバス事件・最大判昭43.12.25民集22巻13号3459頁),「当該事業場の労働者は,就業規則の存在および内容を現実に知っていると否とにかかわらず,また,これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず,当然に,その適用を受けるべきものである。」とされています。
したがって,採用に際して,入社希望者が就業規則の内容に対し明確に反対の意思表示をしない限り(入社を希望する者が,採用に際して,就業規則の内容に対して明確に反対の意思表示をすることは,実際にはあり得ません。
明確に反対の意思表示をすれば,採用されないからです),入社希望者は,就業規則の内容に従って勤務しますということを企業と契約したことになり,企業は,就業規則の内容に従って雇用管理しますということを入社希望者と契約したことになり,労使双方は,就業規則によって拘束されるということになります。
労使協定労使協定は,企業と社員の過半数代表者(当該事業場の過半数組合。
過半数組合のないときは,事業場の過半数を代表する者)が,労働基準法,育児・介護法など労働法を構成する法律の各規定に基づき,原則的に規制されている労働条件などについて,その基準・規制を緩和(計画的年休は違います)する目的で,締結した書面協定のことで,労働法を形成する法律の修正的ルールということができます。
このような労使協定は,当該事業場のすべての労働者にその効力が及ぶものです。
しかし,労使協定が労使で締結されれば,それだけで労働契約の内容となり,直接労使を拘束することになるのか,それとも就業規則に労使協定の内容を定めなければ労使を拘束しないのかについては,それぞれの労使協定の趣旨に照らして判断されることになりますが,法実務的には,就業規則に労使協定の内容が定められれば,労働契約の内容となり,労使を拘束することになると考えて差し支えありません。
ところで,労働基準法上の労使協定(時間外・休日労働協定(36条など))が過半数組合との間に締結されたときは,同時に労働組合法14条の労働協約の要件を満たすことになるので,当該労使協定は,両者の効力を有することになります。
労働慣行労働慣行(労使慣行ともいいます)は,自主的ルールとして形成した労働協約や就業規則にもとづかない取扱いが,長期間にわたり反復継続して行われ,労使双方ともに異議を述べずそれに従っており,ひとつのルールとなっている場合に(Ht電子事件・東京地判昭41.3.31労民集17巻2号368頁),事実たる慣習(民法92条)として,労働協約や就業規則と同一の効力をもち,またその適用・解釈基準や労働契約となり,労使双方を法的に拘束するルールのことです。
労働協約や就業規則と同一の効力が認められるのは,労働協約や就業規則の規定とは異なった取扱いや,規定文言の趣旨を逸脱した取扱いがなされている場合に,かかる基準が,労働協約や就業規則の規定を上回っているときです。
たとえば,再雇用制度はないが,実際には定年退職後,引き続き特段の欠格事由がない限り,社員を直ちに嘱託として再雇用することが常態となっている場合とか(D交通事件・最高2小判昭51.3.8労判245号24頁),始業時刻が8時30分なのに,実際は8時45分になっている場合などです。
労働協約や就業規則の適用・解釈基準として,労働協約や就業規則と同一の効力が認められるのは,労働協約や就業規則の不明確な,また抽象的規定について,具体的な取扱いがなされているときです。
たとえば,始業時刻が9時となっている企業の遅刻管理において,タイムカードに9時までに打刻すれば遅刻として取扱わないとしている場合とか,業務が繁忙でないときに限り,ある程度の時間を組合活動として認める旨の労働協約において,いつも15分程度の組合活動が行われているときなどです。
労働契約の内容と認められるのは,労働協約や就業規則に規定されていない事項について,その取扱いがなされているときに認められるものです。
たとえば,退職金規定がないのに,○年以上勤務した社員に一定の支給方法により退職金を支給してきた場合とか,勤務時間中の組合活動の承認,組合事務所利用の便宜などです。
しかし,事実たる慣習として労働慣行が成立するといっても,それが強行法規(当事者の意思にかかわらず適用される規定であり,これに違反する取り決めは無効となります。
労働基準法の各規定は,13条の規定により,強行法規といえます)や公序良俗(民法90条)(公の秩序である国家・社会の一般利益または社会の一般的倫理である善良の風俗に反する内容を目的とする取決めは無効となります)に違反するときは,その効力は認められません。
ILO裁判所の判断・労働委員会命令グループ労働法を形成する第3のグループとしては,労使間において生じた紛争が,企業内に設けられている苦情処理機関や労働組合との団体交渉によって,自主的に解決することができないときの,国の援助機関である裁判所の判断や労働委員会命令によるルールの形成をあげることができます。
裁判所は,労使間に解雇の効力とか,賃金の請求などといった法律上(権利義務の関係)の紛争(これを「権利紛争」といいます)を処理する機関で,権利紛争の処理については,その他,労働基準監督署(労働基準法,最低賃金法,労働安全衛生法などの違反の是正のため)や,婦人少年室(男女雇用機会均等法違反の是正のため),労働委員会(労働組合法7条の不当労働行為の是正のため)などが,それぞれの手続きに従って,その解決にあたっています。
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